日記

足りない世界を生きないで

こんにちは 副住です。
今日は以前、あるお寺さんにて掲載した法話を再掲載してみようと思います。
題名は「足りない世界を生きないで」とでもしておきましょう。
日々の生活の中で、つい他人と自分を比べてしまい、不安になったり苦しくなったりする事ってありませんか。例えば、「同世代の友人は結婚しているのに、自分はまだ独身だ」と不安になることや、「自分の家庭よりも、友人の家庭が良くみえる」と苦しくなることなど色々とあるでしょう。私たちは知らず知らずのうちに他人と自分を比べながら、時には苦しんでしまう存在のようです。
ところで、どうして私たちは他人と自分とを比べてしまうのでしょうか。
もしかしたら、そこには明確な答えなどなく、気づけば比べていたという事が多いのかもしれません。ですから、不安や苦しみをつくらない為に「比べるな!」と言われたとしても、難しいのです。むしろ、比べてもよいのではないでしょうか。
ただ、他人と比べることで、自分に「足りない」と思う部分をみつけることがあります。それは問題です。「私にはこれが足りない」。そう思うと、不安や苦しみが顔を出します。私たちの心は欲深いもので、自分に「足りない」ものを見つけることが上手です。また、一度「足りない」と思うと、気になりだし、挙句それを欲しようとします。欲すれば欲するほど「足りない」ものが強調され、不安や苦しみは大きくなっていくものです。
一方で「足りている」ところには、なかなか目が向きません。時には、目が向かないどころか「足りている」こと自体に気づかないこともあります。どうやら私たちの心には「欲する」という心の病が潜んでいるようです。自分が病に侵されていると気づけば、症状が酷くならないよう労ることもできますが、病であると気づけなければ、症状は酷くなることもあるでしょう。
この心の病に対する良薬は仏法です。仏法では「少欲知足」という言葉があります。「足りない」部分をみつけだす世界を生きるのではなく、「足りている」世界を歩みなさい!と教えてくれる言葉です。「足りている」世界、そんな世界こそ、他人を認め、許していけることができる世界ではないでしょうか。「足りない」部分をみつけだす世界と、「足りている」世界と、あなたはどちらの世界を歩みたいですか。因みに私は後者です。