日記

親鸞聖人の生涯について 〈親鸞伝絵・絵伝から再考する〉本を紹介 

こんにちは 副住です。
今日は私が非常勤で属する浄土真宗本願寺派総合研究所〈東京支所〉のお仕事をすすめています。
仕事の内容は、仏教書レビューという、最近出版された仏教書を紹介するサービス。
その為に、仏教書を一冊読破し、その紹介文を書いて、どのような本なのかを説明するのです。
今回、私が担当する本が、こちら
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親鸞聖人という方は、自身の著作の中でも、自分のことなどについては触れない方でした。あまりにも自身についての記述が少ないのです。
また明治期には、親鸞聖人在世の歴史的資料から、親鸞という名が確認できなかったことから、親鸞という人物は実在しなかったのでは?
と疑問視されていたのです。いわゆる親鸞非実在説ですね。
つまり、真宗教団がつくりあげた架空の宗祖として考えられたのです。
しかし、大正期に入って 親鸞聖人の妻〈恵信尼さま〉の消息〈お手紙〉が発見され、親鸞聖人の行実など具体的な記述がみつかり、存在が証明されたというわけです。
以後、親鸞の生涯について研究がすすめられています。
ただし、歴史的資料が乏しい〈自身の著述でも自身について語らないので〉という点は変わらず、その生涯には多くの謎が残されたままなのです。
そこで、その謎を解き明かすため、現在も行われている作業が、二次的資料の活用です。
つまり、親鸞聖人が亡くなった後、数十年してから身内の者によって書かれた伝記的文献などの活用ということです。
ただしこれには注意点も必要で、例えば身内の者だからこそ、歴史的事実の他に、伝記的な側面を盛り込んでしまったりすることが予測できます。
確かにある文献では、「親鸞聖人は夏に生まれて、秋には歩いていた」とか、「親鸞聖人のお母様は、夢に観音菩薩が現れ、一尺ほどの五葉松を授けられたことから、親鸞の幼名に十八公若と名付けた」〈松の漢字をばらすと、十と八と公になるから〉とか、そんな伝記が残されているのですが、私はとっても疑問に感じています。(だって、生まれて3ヶ月で人間歩くか?)
さてさて、そんなことは置いておいて、今回の本は二次的資料として扱われる「親鸞伝絵」「絵伝」にみられる親鸞聖人像を再考するという本です。
因みに、「親鸞伝絵」と「絵伝」とは何か?ということですが、
親鸞聖人が亡くなられて32年後、親鸞聖人の曾孫の覚如〈第3代本願寺宗主〉が制作した「善信聖人絵」というものがありました。41年後に消失したようです。
「善信聖人絵」は消失しましたが、写本が数本残されています。
因みに、親鸞聖人は房号〈つまり呼び名〉を善信房と呼ばれていたので「善信聖人」となるのです。
因みに、曾孫の覚如さんは親鸞聖人と面識はありません。
その覚如さんが、親鸞聖人の33回忌を機として、伝記を制作したのです。それが「善信聖人絵」ということです。
その写本が数本残りましたが、いずれも若干異なる部分があるようで、原本がどのようなものだったのかはっきりしていないようです。
構成は、親鸞聖人の生涯の主要な部分がピックアップされ、絵と説明が書かれてあります。
そんな場面が十数箇所あるようです。
その後、親鸞聖人の伝記をより多くの人びとに伝える為、絵と説明が別々にされ、絵だけを集めたものが「伝絵」と呼ばれ、絵巻形式のものです。
説明だけを集めたものが「ご伝ショウ」と呼ばれるようになりました。
さらにその後、絵巻形式の「伝絵」を模して、掛け軸形式にしたものが「絵伝」なのです。
「絵伝」の発生時期は南北朝初期にまでさかのぼれるようです。
現在は報恩講の際、各浄土真宗本願寺派のお寺の本堂には「絵伝」がかけられたりします。〈西照寺はまだもってないけど・・・汗〉
その「伝絵」と「絵伝」は数種類存在して、特に「絵伝」は掛け軸で複数の人が同時に鑑賞できる利点があり、布教に有効な道具として需要が多く、
長い歴史の中で、地域を変えながら色々な内容が盛り込まれながら作成され、今に伝わっています。
(布教では、「絵伝」を用いた絵解きが盛んだった時もあるようです)
今回の本は、それらの諸本を比べながら、また、いまだに未決着の学説を考慮しながら、親鸞聖人の生涯を推測するというのが本書の内容です。
厚さも結構あります。300頁以上
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このサービスは、「もっと仏教書を手軽に読んでもらいたい」との思いから、研究所の所属メンバーが、どのような本なのかを紹介し、
読んでもらうための判断材料として欲しいと行っているサービスです。
今回、私が取り上げた本は、ちょっと素人向きではなくて、若干専門的な感じがします。
寺院の住職や、親鸞の生涯の研究をしている方が読まれると相応しいのではないかと感じます。
〈それくらい、緻密なことも書いてある〉

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