日記

西欧と東洋

おはようございます。住職です。

昨日は良い天気になり、11月1日ということもあって、区切りの日となったとか、多くのご門徒さんがお

参りに来てくださいました。

特に法話会にメンバーだと、熊谷市にお住いのHさん、上尾市にお住いのYさんがお参りされていました。

お元気なお姿を拝見し、安堵。

皆さん、口々に「買い物以外は、なるべく外出していない」と仰っておられるのが印象的です。

今年に入ってすぐにコロナが流行し、そろそろ一年になろうとしています。

これだけ長期間になれば、コロナ疲れがでてくるし、慣れてきてしまい、警戒感が低くなりがちだと

思えるのですが、さすが日本ですね。(いや、ここは流石、西照寺のご門徒ですね!と言いたい)

皆さん、警戒レベルが低くない。素晴らしいことだと思わされます。

一方で、西欧の情報をTVでみれば、(私からみれば)個人的自由を尊重しろ!と求めるがあまり、

感染がとまりません。これに対して日本では、たぶん周りの事を思って自分の不便さをも我慢する。

西欧で見られるような、雰囲気ではない。これはおそらく、国々の文化と国民性が関係しているのだと

思います。

やはり歴史的にキリスト教が強く関係していて、文化を形成してきた西欧の国々では、基本的に個別的な面

が強調されますね。もちろん一面的だけ捉えて言えないことですが、しかし、影響は多くあると思わされま

す。考え方がその国の文化を形成し、その文化で育つことで国民性が培われるのです。だからこそ、無意識

的なことでしょうが、環境的に個人主義が強くでる国なのだと思います。これは良し悪しではありません。

特徴です。(キリスト教の教えの基本は、神と私との契約です。だから私という個別性が強く反映されるわ

けです。ユダヤ教になると、神と民族となるので、個人的な個別性よりも、ちょっと枠は広いのかもしれま

せんが、キリスト教は民族の枠を超えて、神と私との契約となるから、そこで個別性が強くなるのです)

一方、日本は仏教が強く影響しています。特に江戸時代などでは寺子屋などを通じて教育があったというの

で、お寺は身近な存在だったのでしょう。仏教の教えは、縁起です。つまり、「物事は支え合った成立して

いる」と考えます。だからこそ、どちらが偉いとかないわけです。全体的なバランスが大事!と考えます。

この考え方は、特に北伝仏教が伝わってきたアジア(シルクロード系)の国々に見られる考え方となりま

す。日本はこっちですね。第二次世界大戦以降、欧米思想が強く反映されるようになりましたが、未だ文化

や国民性の中に、このような考え方が伝わっているのです。だから、個人の自由さよりも、全体を考える。

つまり、周りへの影響を考えられる。さらに、周りへの影響を考えることで、自分の思いも我慢ができる。

これら、宗教の考え方には違いがあって、その違いが文化に影響することとなります。もちろん、それぞれ

の国民の考え方にも影響を及ぼすのです。

因みに、典型的なのは医療ですね。

西洋医療は、悪い部分を見つけて、それを取り除いてしまえばいい!と考えます。だから手術します。

これも個別的ですね。悪い部分を見つけて、そこだけ取り除く!という個別性です。

一方で東洋医学は漢方です。

考え方は養命酒のCMを思い出してもらえたらいいですね。

悪い部分があったのは、全体の流れが悪いからだ!と考えるのです。つまり全体のバランスが悪いと。

だから、悪い部分を見つけ出し、除去してしまえばよい!という発想にならなかったのです。

むしろ、全体の流れを、バランスを良くする方向にいくわけです。

漢方は基本的にそっちの考え方の医療ですね。おそらく中国の気功などもそうでしょう。

全体的な流れを意識するのだと思います。

このように、シルクロード経由のアジア文化は、全体バランスを考え方の基礎とし文化を形成し

それらの影響で国民の考え方も培われてきているのです。

ですから、西欧とは動きが違うわけなのですね。

今回、奇しくもコロナの蔓延で、そのような部分が表出してきたな。と思っています。

それにしても、日本の皆様は・・・いや、西照寺のご門徒の皆様は素晴らしいと思わされています。

コロナが終息するまで、少し長いみたいですが、頑張っていきましょう。

くれぐれもご自愛くださいね。