日記

宗教法人実務研修会(聖と俗)

おはようございます。住職です。

数日間、更新が滞りました。

というのも、出張続きだったのです。

以前のブログでも綴っていたことなのですが、先月末から2週間ほどの間に、京都、築地、箱根、群馬と出

張が続いたスケジュールとなっていました。

コロナ以降は、出張が大幅減となって、私的には嬉しかったのですが、少しだけ復活してきてしまいました

。コロナ前は、結構あちこち出張していました。むしろ、それが当たり前かのような感覚さえありました。

でも、移動だけでも肉体的にもかなり疲れるのです。それがコロナが流行した2020年から突然社会の流れが

変わりました。在宅勤務が基本となって、出張などは皆無。今まで当たり前だった事が、急激に変化。

出張や移動がなくなったら、こんなに身体は楽なのか!と思いました。

以来、その生活に慣れてしまいました。

また、40歳を過ぎた頃くらいからか、外泊するとよく寝られない状態になってきました。

それらが重なって、出張で外泊!というのは、私にとってはなるべく避けたいものとなっているのです。

コロナ禍以降、そんな機会も少なかったのですが、先月末から急に出張外泊が立て続けに入ってしまったの

です。

そこで、今回は7日の月曜日に箱根まで会議(2日間)で出張。

そのまま群馬県の前橋市の会場で8日の午後から始まる研修会(2日間研修)に出張。

9日の研修会を終えて、昨晩帰宅してきました。長かった。

そんな事があって、ブログの更新ができなかったのです。

さて、群馬県の研修会は、前橋市にある群馬会館で行われました。

こんな場所でした。この研修は、文化庁と群馬県が共催?してくれた研修会のようで、

令和6年度宗教法人実務研修会というものでした。

1日目は13時~17時過ぎまで、途中休憩10分程度を3回挟むだけで、それ以外はずっと講義。

2日目も、10時~15時まで、10分休憩と1時間の昼休憩を挟んで、それ以外はずっと講義。

まるで学生にでもなったかのような時間割でした。

講義内容は、「宗教法人の運営」についてです。

1日目は、文化庁、日本宗教連盟、国税局、消費者庁、群馬県から、講義がありました。

2日目は、公認会計士の税理士さんからの講義でした。

数年前に統一教会の問題があったことで、国民が宗教法人に対して不信感を抱く結果となりました。

以来、国は「宗教法人の適正な運営」について徹底するよう求めています。当然ですね。

この流れを受けて、日本国内の宗教法人を管轄する文化庁が中心となって、各宗教教団に協力要請が

なされています。

当然ながら、浄土真宗本願寺派でも、積極的にこの流れを受け止め、動いているところなのです。

私は、東京教区というエリアに存立する浄土真宗本願寺派の500弱のお寺に、宗派の動きを知らせて

実務的な面の協力を行う仕事をしている為、早い段階でこの研修会に参加させてもらったという流れです。

今後、この研修会は全国各地で定期的に行われるものなので、関東地方で開催される場合には、

各お寺のご住職に出席するよう呼びかけていきます。

もちろん、研修会に参加されないご住職もでてきますから、その部分を私が働く築地本願寺の部所にて

サポートしていく必要があるのです。

その意味でも、宗教法人の適正な管理運営について学びを深めてきたのです。

初日の講義に関しては、私は知っていた内容が多かったので、復習を兼ねて勉強させてもらいました。

内容としては、宗教法人法という法律に関すること。宗教法人の公益性に関すること。

宗教法人に対する税務の基礎知識についてのこと。でした。

そして、私が初めて知ったことが、消費者庁からの講義でした。

個人的には、言われなくても、当然の話でろうと思うことでしたが、宗教法人に対する寄付の在り方に

ついてのものでした。詳しくは、「不当寄付勧誘防止法等について」とのことで、法律ができたようです。

これは統一教会の問題で明らかになった、強引な寄付勧誘を防止する内容の法律でした。

おそらく、私も普通の感覚をもっていると思っているのですが、その観点からして、当たり前だろ!と思う

ものでした。つまり、寄付者をマインドコントロールして、その家族が生活に困窮するような寄付の勧誘は

ダメ。もし、そのような寄付があった場合は、無効とする!との法律のようです。

当たり前だろ!と思いますが、そんなことを行う宗教法人があったのか!という事実があることが問題

だったのです。そんな実態があったことがわかったのですから、もう二度とそうならないように、

法律ができたということです。この件は、私も詳細の内容までは知らなかったので、勉強になりました。

2日目は税理士さんから、宗教法人の税務処理に関する内容でした。

この点は、私も西照寺で学んでいる点が多かったので、おおよそ知っていましたが、細かな点など

は知らなかったので、勉強になりました。

例えばですが、西照寺では忙しない時にお手伝いくださった方に、お礼(報酬)を差し上げる事もあり

ます。(俗にいう、1日のバイト代みたいな感じ)

法人が個人に対し、報酬をお支払いする場合、法人側が源泉徴収を行い、預り金として税務処理をしなけれ

ばいけないのです。今まで、その税率の計算方法を知りませんでした。というのも、西照寺は公認会計士

が入っており、お任せしているから。

その税率は、10.21%だよ!と。昨日の講義で教えてもらったのです。

昨日の講義では、そもそもは10%だったらしいのですが、東日本大震災以降、復興税が加わったことで

計算が複雑になったとの事でした。(因みに、100万を超える報酬の場合は、20.42%らしいです)

また、宗教法人が発行する領収証には、5万円を越えたものであっても印紙税はかからないと教えて

もらいました。なので、印紙は貼らなくてもいいそうです。ただし、土地の賃借などの領収証とか、権利証

には印紙は必要とのことです。どうも、それぞれの細かな費目によって分類があるとの事。

これら、細かな点で知らなかった事があり、大変勉強になりました。

宗教者は、純粋な宗教としての活動は、聖の領域ですから、そちらの学びは深いのです。

しかし、宗教法人を運営する宗教者の場合、法人は俗の領域のことなので、法律などが関係してきます。

私がこれまで知り合ってきた宗教者(仏教者が圧倒的に多い)では、お寺を運営するご住職が多いのですが

、どうも聖の領域を重んじて、俗の領域にはあまり重きを置いていない。あるいは俗の領域は所詮俗の

領域なんだ!とする傾向が、圧倒的に強いように感じます。

ここで言う俗の領域とは、法律とかではなく、俗的な人間的な怨恨とか、醜いあり方の事です。

俗事に流されすぎないで、聖の領域を大切にしていこうよ!とのご住職が圧倒的に多いのです。

これはこれで、私は今でもお寺の素晴らしい部分だなぁと思うのです。だから、ご住職は結構いい人が

多いと思います。もちろん、嫌な部分だってあるし、人によっては例外もあるでしょう。

ですが、比較的多くのご住職は、聖なる領域に対して真面目。

しかし、その傾向が強いがゆえに、足りない部分があるようにも思えてくるのです。

それは、俗事を遠ざけようとする結果、法人運営という部分に重きを置かないようになってしまう。

つまり、法人運営に関する学びを積極的に行おうとはしない傾向があるように思えてしまうのです。

ですから、真面目ではあるのですが、法律や税務などに疎い場合があり得るような気がしています。

宗教法人の運営者という俗事にも、やはり積極的に向き合って、聖と俗とのハザマをどうやって

上手に結び付けていけるのかを考えていかなければ、現代社会に必要な宗教団体となっていかないように

思ってしまいます。

今の俗を知るからこそ、聖の求められている部分を、今の俗に転換させていかねばならないのです。

それができたとしたら、俗は聖が大切だと気付けるはず。

そこのハザマに身を置けるのは、宗教者の特権です。

だからこそ、俗もしっかり学ぶ必要があるのだろうと私は思います。