おはようございます。住職です。
明治期以降、日本人の価値観や考え方は大変革を遂げたと思います。
その影響を強く受けた一つに、お寺があると思うのです。
もしかしたら明治維新は、産業革命によって欧米文化を受け入れざるを得ないようになったことに加えて、
そもそも武家社会の制度や価値観そのものに疑問をもった人達の動きによって果たされた、武家社会制度の
大転換であった可能性もあります。
その証拠として、明治期には神仏分離令(昔の日本では、神や仏は一緒に大事に扱われていたが、神仏分離
令は、神と仏は違う!と厳しく分離させた)
また、廃仏毀釈(神は大事にするが、お釈迦様を毀損し、その教えである仏教を廃れさせる為に、仏像を破
壊したり、経典を焼き捨てたりした)の動きも見られました。
そもそも、明治期は天皇(神)を中心とした国造りを進めた時代です。
江戸時代には、お寺は各地域に住まう人々の戸籍を管理する役目も担っており、武家社会制度に深く根付い
ていたのですが、明治期の廃仏毀釈などによって、戸籍の管理も役所が担うようになるなど、お寺の影響力
は大きく削がれることとなりました。
その後、戦争などを経て、70年以上の平和ボケとも言える、死を隠す日常が始まりました。
すでに日本は欧米の価値観にどっぷり浸かり、居心地が良いとさえ感じているかもしれません。
しかしながら、経済的な発展が落ち着き、人口減少を迎え始め、国債も多く、日本の未来への可能性は正直
厳しいように思えます。
今後は、世界の人達を相手に、ビジネスを遂げていかなければいけなくなると思います。
その時、私は日本人の特徴が武器になると思っているのです。
特に、これまで主張してきた「命がけの精神性」「一体感」「日本的美意識」などです。
これらは仏教と結びつきが非常に強いように私は考えています。
今後のお寺の役割は、日本文化の特徴をしっかりと意識し、それを再確認できるような取り組み。
あるいは、それらの特徴を現代版として身に付けられるような教育や体感、学びが深められる場所にしてい
かなければならないだろうと私は考えています。
日本文化を再確認、あるいは現代版としてアップグレードし、現代人に伝える役割があるのだろうと思って
います。