親に聞く前に、自分の中の問いを話してみる|親に聞いておく10のこと
親に聞いておきたいことがある。
そう思っていても、すぐに親に聞けるとは限りません。
西照寺では現在、「親に聞いておく10のこと」を作成しています。
これは、親に質問を投げかけて、答えを集めるためだけのものではありません。
親の人生をきれいにまとめるためのものでもありません。
感動的な言葉を引き出すためのものでもありません。
家族の歴史を完成させるためのものでもありません。
親が生きているうちに、無理なく、押しつけず、
その人が大切にしてきたことに少しだけ触れられる入口を作りたい。
そのような思いから、少しずつ形にしています。
ただ、実際には、親に聞く前に止まってしまうことがあります。
何を聞けばよいのか分からない。
どう切り出せばよいのか分からない。
聞きたい気持ちはあるのに、言葉にできない。
聞いてよいことなのかどうかも分からない。
そうしたことは、決して珍しくありません。
今回は、親に聞く前に、まず自分の中にある問いを少し見つめてみることについて考えてみます。
親に聞きたいことは、最初から整理されていない
「親に聞いておきたいことはありますか」と聞かれて、すぐに答えられる人ばかりではありません。
本当は、あるような気がする。
でも、急に聞かれると、うまく言葉にならない。
そのようなことは多いのではないでしょうか。
親の昔のこと。
家族のこと。
自分が知らない親の人生のこと。
親が大切にしてきたこと。
言えなかった思い。
後悔していること。
本当は伝えたかったこと。
聞きたいことは、たしかにある。
しかし、それは最初からきれいな質問の形をしているとは限りません。
むしろ、最初はもっとぼんやりしていることが多いのだと思います。
「何か聞いておいた方がいい気がする」
「このままでいいのだろうか」
「亡くなった後に、後悔するのではないか」
「でも、何を聞けばよいのか分からない」
そのような、はっきりしない思いから始まることもあります。
西照寺が考えている「親に聞いておく10のこと」は、
そのぼんやりした思いを、無理に結論へ持っていくものではありません。
まずは、自分の中にある問いに気づくための入口でもあるのです。
いきなり親に聞かなくてもよい
親に聞いておくことは大切です。
しかし、だからといって、いきなり親に聞かなければならないわけではありません。
むしろ、いきなり聞こうとすると、うまくいかないこともあります。
親が驚いてしまうかもしれない。
自分自身が言葉に詰まってしまうかもしれない。
急に重い雰囲気になってしまうかもしれない。
何を聞きたかったのか分からなくなってしまうかもしれない。
だから、まずは親に聞く前に、
自分の中で何が気になっているのかを少し見つめてみてもよいのだと思います。
自分は、親の何を知りたいのか。
なぜ、それを聞いておきたいのか。
今まで聞けなかったのは、なぜなのか。
もし聞けなかったまま別れたら、何を後悔しそうなのか。
こうした問いを、すぐに親に向けるのではなく、
まずは自分の中に静かに置いてみる。
それだけでも、親に対する見方が少し変わることがあります。
親をただ「親」として見るだけではなく、
ひとりの人として見つめ直す入口になることがあります。
自分の問いを、誰かに話してみる
自分の中にある問いは、ひとりで考えているだけでは見えにくいことがあります。
考えているつもりでも、同じところを巡ってしまう。
何が気になっているのか、自分でも分からない。
言葉にしようとすると、急に止まってしまう。
そのような時は、親に聞く前に、
自分の中の問いを誰かに話してみることが助けになる場合があります。
「親に何か聞いておきたい気がする」
「でも、何を聞けばいいのか分からない」
「こんなことを聞いてもいいのだろうか」
「親に話を向けるのが怖い」
「聞いた後に、関係が変わってしまう気がする」
そうした思いを、いきなり親本人にぶつけるのではなく、
まずは家族ではない誰かに話してみる。
それだけで、自分が本当に気にしていたことが、少し見えてくることがあります。
言葉にしてみて、初めて気づくことがあります。
「ああ、自分は親の過去を知りたいのではなく、親が何を大切にしてきたのかを知りたかったのかもしれない」
「本当は、親に謝りたいことがあったのかもしれない」
「親の気持ちを聞きたいというより、自分が後悔したくなかったのかもしれない」
「親が亡くなった後に、何も聞けなかったと思うのが怖かったのかもしれない」
問いは、誰かに話すことで少し形を変えることがあります。
それは、考えがぶれるということではありません。
むしろ、自分の中にあった思いが、少しずつ見えてくるということだと思います。
話すことで、聞き方が変わる
親に何を聞きたいのかが少し見えてくると、
聞き方も変わってくることがあります。
いきなり深い問いをぶつける必要はないのかもしれません。
「昔のことを少し聞いてもいい?」
「お父さんが若い頃、大切にしていたことってある?」
「お母さんは、どんな時が一番うれしかった?」
「私が知らない家族の話ってある?」
そのような、少しやわらかい言葉から始められるかもしれません。
あるいは、今はまだ聞かない方がよいと気づくこともあります。
親の体調や気持ちを考えると、今は急がなくてよい。
自分の気持ちがまだ整っていない。
無理に聞くより、まず一緒に過ごす時間を大切にした方がよい。
そう気づくことも、決して悪いことではありません。
親に聞いておくことは大切です。
ただし、聞くことだけが大切なのではありません。
どう聞くのか。
いつ聞くのか。
どこまで聞くのか。
聞かないことを選ぶのか。
そこにも、大切な配慮があります。
問いを持つことは、相手を追い込むことではありません。
問いを持つことは、親を自分の知りたい方向へ動かすことでもありません。
問いを持ちながら、相手を大切にする。
そのためにも、親に向ける前に、
自分の中の問いを少し整理してみる時間があってもよいのだと思います。
家族ではない人に話す意味
家族に話せることもあります。
でも、家族だからこそ、話しにくいこともあります。
兄弟姉妹に話すと、意見が分かれるかもしれない。
配偶者に話すと、心配をかけるかもしれない。
親本人に話すには、まだ早い気がする。
家族の中で話すと、感情が動きすぎてしまう。
そのような時、家族ではない人に話すことで、
少しだけ距離を置いて考えられることがあります。
家族ではないから、急かされない。
家族ではないから、評価されにくい。
家族ではないから、関係のしがらみから少し離れられる。
家族ではないから、言葉にならないものをそのまま置ける。
もちろん、誰にでも話せばよいということではありません。
大切なのは、答えを押しつけない人。
話を急がせない人。
きれいにまとめようとしない人。
沈黙を待てる人。
そうした相手に、少しだけ話してみることで、
自分の中の問いが見えてくることがあります。
西照寺が大切にしたいこと
西照寺が大切にしたいのは、
何かを決めることではありません。
親に必ず聞きましょう、と迫ることでもありません。
親子関係をこうすべきだ、と示すことでもありません。
人生を美しい物語にまとめることでもありません。
大切にしたいのは、
言葉になりにくい思いを、急かさずに扱うことです。
まだ整理できていない思い。
聞きたいけれど、聞けない思い。
聞いてよいのか分からない問い。
亡くなった後に後悔するかもしれないという不安。
そうしたものを、いきなり正しい答えにしなくてもよい。
まずは、そのまま置いてみる。
誰かに少し話してみる。
話しながら、自分の中の問いに気づいていく。
そのような時間も、大切なのではないかと考えています。
親に聞く前の時間も、大切な時間
親に聞いておくことは、
親に質問する瞬間だけで成り立つものではありません。
その前に、自分の中で問いが生まれる時間があります。
聞きたいのに、聞けない時間があります。
何を聞けばよいのか分からない時間があります。
言葉にしようとして、止まってしまう時間があります。
その時間も、無駄ではありません。
むしろ、その時間があるからこそ、
本当に大切な問いに少しずつ近づいていけるのかもしれません。
親に聞く前に、自分の中の問いを見つめる。
必要であれば、家族ではない誰かに少し話してみる。
そして、無理のない形で、親との会話に向かっていく。
そのような順番があってもよいのではないでしょうか。
西照寺では、少しずつ準備を進めています
西照寺では現在、「親に聞いておく10のこと」を作成しています。
これは、親が元気なうちに、
その人が大切にしてきたことに少しだけ触れるための入口です。
同時に、親に聞く前の迷いや、
家族の中では言葉になりにくい思いを、
静かにお聞きする場についても、少しずつ考えています。
何を聞けばよいか分からない。
聞きたい気持ちはあるけれど、切り出せない。
親にどう話せばよいのか分からない。
自分自身の中でも、まだ整理できていない。
そのような段階でもよいのだと思います。
すぐに答えを出さなくてもよい。
うまく話せなくてもよい。
立派な言葉にならなくてもよい。
まずは、親に聞く前の思いを、静かに置いてみる。
西照寺では、そのような場所があってもよいのではないかと考えています。
これからもホームページ・ブログ・noteを通じて、
「親に聞いておくこと」
「親に聞く前の迷い」
「家族の中で言葉になりにくい思い」
「親子だからこそ聞けないこと」
「家族ではないからこそ話せること」
について、少しずつ発信していきます。
「親に聞いておく10のこと」に関心のある方は、西照寺ホームページ内の「LINEで問い合わせ」より、友だち登録をしてお待ちください。
完成後、必要とされる方に無料でお届けできるよう準備を進めています。
親に聞く前に、自分の中の問いを話してみる|西照寺 住職 網代和尚
埼玉県東松山市にある浄土真宗本願寺派の西照寺です。お墓参りや永代供養、樹木葬、相続、日々の仏事に関する小さなお悩みなど、いつでもお気軽にご相談ください。
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