墓仕舞いのあと、故人や家の記録までなくしてしまう必要はありません
近年、西照寺でも墓仕舞いについてのご相談が増えています。お墓を継ぐ人がいない。子どもが遠方に住んでいる。子や孫に墓守りの負担を残したくない。
こうした理由から、墓石を撤去し、遺骨を永代供養墓などへ移す方がいらっしゃいます。墓仕舞いそのものは、家族や社会のあり方が変わる中で生まれた一つの選択です。ただ、西照寺では墓仕舞いの相談を受ける中で、もう一つ考えるようになりました。それは、「お墓がなくなるとき、その家や故人がそこにいた記録まで一緒になくしてしまってよいのだろうか」ということです。
墓石には、遺骨以外のものも残されています
お墓は、遺骨を納める場所です。しかし墓地を長く見ていると、それだけではないことが分かります。墓石には家の名前があります。墓誌には、亡くなった方の名前や命日があります。建立年月が刻まれている場合もあります。そこから、誰がこの家のお墓を建てたのか。どのような人たちが代々供養されてきたのか。ということを知ることができます。
お墓は知らず知らずのうちに、「この家、この人たちが確かにここにいた」という記録の役割も果たしてきました。
墓仕舞いをすれば、その情報も見えなくなります
墓石を撤去すれば、そこに刻まれた情報もなくなります。もちろん、改葬先に遺骨は残ります。永代供養をすることもできます。
しかし、「以前どこにお墓があったのか」「誰がそこに眠っていたのか」「どのような家だったのか」といった情報は、意識して残さなければ少しずつ失われていきます。今は家族が知っていても、50年後、100年後も同じとは限りません。
墓仕舞いと、家の記録をなくすことは別です
西照寺では、「お墓を閉じること」と「その人や家の痕跡をなくすこと」は分けて考えてもよいのではないかと考えています。
大きな墓石を維持することは難しい。でも、名前なら残せるかもしれない。墓誌の写真を残せるかもしれない。昔のお墓の場所や家族関係を記録できるかもしれない。そうした小さな記録を残しておけば、将来、「自分の祖父母や曾祖父母について知りたい」と思った人が、そこからたどることができます。
西照寺の「存在の証」
西照寺では、墓仕舞い後にも故人や家の記録を残す取り組みを検討しています。
名称は、「存在の証」です。
新しい大きなお墓をつくるものではありません。墓仕舞いをしたあとにも、「この人がいた」「この家がここにあった」という手掛かりを、小さく残すための取り組みです。
次回は、墓仕舞い後に具体的にどのような情報を残すことができるのかをご紹介します。
西照寺は、家族に今すぐ渡せない言葉や、未来に届けたい本人の思いを、本人の言葉のまま静かに預かる寺院です。
- 住所:埼玉県東松山市大谷2560-4
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