●お彼岸とは
「彼岸」とは、川向こうの岸という意味で、煩悩(欲)を脱した悟りの世界を意味します。「彼岸」に対し、欲にまみれたこちら側の世界を「此(し)岸(がん)」とも言います。
「彼岸」は古くは『源氏物語』あたりから古典にもでてきます。平安時代中期の貴族のあいだで行われていたようですね。
日本仏教におけるお彼岸の習わしは、死者の冥福を願いながら、欲にまみれた心身を清らかにする期間として大切に過ごされてきました。欲にまみれた姿の愚かさを教えてもらう、大切な期間なのです。
またお彼岸は悟りの世界を意味する為、極楽浄土のことだと考えられてきました。1年に2回あるお彼岸の中日は、昼と夜の長さが同じになり、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。西方極楽浄土とも言われるように、お彼岸の時期に沈みゆく太陽のはるか彼方には、極楽浄土があると思われてきました。この期間に仏様をお参りする事で彼岸=極楽浄土へ往くことが出来ると考えられてきたのです。お彼岸は日本特有のもので、草木の芽吹き(春)と、実り(秋)を祖先に感謝する心と、上記のような仏教の考え方が合わさり、行事として定着してきたのです。素晴らしい文化ですね!
実はあまり知られていない事として、国民の祝日となる春分の日・秋分の日ですが、春分の日は、「自然をたたえ、生物をいつくしむ」、秋分の日は「先祖を敬い、亡くなった人を偲ぶ」として制定されています。これらの心はすべて関わりがあると言ってよいでしょう。
●いつなの?
彼岸のお中日=3月の春分の日と、9月の秋分の日、それぞれを挟んで前後3日を含んだ7日間。つまりお彼岸は春と秋に7日間づつです。それぞれの初日を「彼岸の入り」、終日を「彼岸のあけ」といいます。
※春分の日と秋分の日は、年によって違いますので、ここに○日~○日と書けません。今年平成25年の春のお彼岸は3月17日から23日までです。
●何をするの?
・彼岸の入りの前に:
お墓、仏壇の掃除。お盆のような飾りつけはありません。心静かに待つ。
・お彼岸の期間に :
お墓と仏壇にお参り、供花とお供え。説法を聴き、自己の姿を反省する。
・彼岸会・法要 :
西照寺でもお彼岸時期には合同法要を行っています。
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●宗派・地域による違いは?
・お彼岸のお供えで味付けしない米粉を蒸した彼岸だんごを用いる場合があります。
・お墓参りの際に卒塔婆を準備する場合があります。(西照寺では用いません)
●ぼたもちとおはぎ
春はぼたもち=牡丹、秋はおはぎ=萩と、呼び名が異なるだけで同じものです。炊いた米を軽くついて丸め、餡で包んだものですね。西照寺の副住職はその立場にありながら、このぼたもちを戴くのが苦手です。
●ヒガンバナ
秋のお彼岸の時期に咲くのが名前の由来です。お彼岸に仏前に供えたりする習慣はありませんが、毒があるのでお墓や田を動物から守るために植えたりしたそうです。毒を水に晒して消し、根からでんぷんを取ったり薬草使用もします。(安易にしないでくださいね。毒が残っていると吐き気、下痢、神経麻痺などを起こし、場合によっては生命の危険があります)種は出来ず球根で増えます。群生地が観光地になるくらいで、たくさん咲いているときれいですね。赤いものという印象がありますが、白い花もあります。
(この記事は、ブログ運用スタッフが副住職の監修をいただきながら準備しています。副住職、いつもたくさんの記事ありがとうございます!)