おはようございます。住職です。
今朝、子どもを送っていく車内で、TV(モーニングショー)の音声を聞いていたのですが、
鬼怒川温泉(栃木県日光市)の廃業したホテルの不法侵入問題が取り上げられていました。
若い人が、廃業してかなり時間が経過した廃墟ホテルで「肝試し」する動画を撮影し、youtube でアップさ
れているとの事でした。また、廃墟ホテル内で壁などに落書きがされていることも報じられていました。
そもそも廃墟ホテルに入ることは、危ないし、不法侵入にあたるとの事で問題視されていました。
また、大型廃墟ホテルの撤去には一つのホテルで10億の解体費がかかるそうで、日光市はお金の面でも工面
しづらいこと、さらには、廃墟ホテルの権利問題もあって、所有者に連絡する必要があるのに、所有者は
行方不明で連絡がとれず、手続きも困難な状況にあると、廃墟ホテルの現況問題も報じられていました。
私はこの問題を通して、改めて現代日本における「後始末を考えない問題」を如実に感じてしまいました。
この「後始末を考えない問題」は、非常に大きな問題で、「後始末を考えない問題」の先にあるのは、後世
の世代に負荷を残す事実へと展開してしまうのです。
後世に生まれてきた世代の人は、生まれながらにして、先人が残した負の遺産ばかりが圧し掛かってきてく
ることとなるのです。
私が思うのは、特に都市にみられるタワーマンションは、完成当初は素晴らしく、魅力的ではあるのですが
50年後、100年後はどうなってしまうのか?と思ってしまうのです。
建設業者さんは、マンションを建てればお役目御免。販売業者さんは完売すればお役目御免。
結果的に購入者と管理会社に、その後始末問題は委ねられてしまうのです。
しかし、修復や解体などの話題となれば、購入者の総体意見を取りまとめる必要もあって、上手く纏まらな
いことでしょう。最終的に、問題は後回しにされて、どうにもならなくなかって、廃墟と化していきそうで
す。現代日本社会の制度や各個人の意識は、そうやって負の遺産を作り続ける構造となっていそうなのです
。最終的には、こんな事になるなんて思ってもみなかった!との理由だけが残され、廃墟と化した建造物は
事実として残ってしまい、解体できずに放置されてしまうのだと思うのです。
これらの建物問題だけでも、知らず知らずに段々と表面化してきています。
例えば、湯沢町にあるバブル期に建てられたマンションは、当時はバブル期だったこともあり、投資目的な
どでかなり売れたそうですが、時間が経過し、今では負の遺産として、誰にも売れずに所有者もわからない
為、修復も叶わず、廃墟化しつつあるとの事です。
また、軽井沢など別荘地に建てられた個別の別荘も、古い物件は今では買い手がつかずに放置されてしまう
そうです。固定資産税や維持管理費がかかってしまうので、買い手がつかないと報じられています。
別荘地の個別の建物であれば、解体はいくぶん簡単かもしれませんが、しかし大型建造物だと、解体費だけ
で数十億かかってしまうそうなので、これは困難な問題となります。
こうやって、再活用ができないどうにもならない不動産が、負の遺産となって後世の世代に問題として圧し
掛かってしまうのです。
私が思うのは、せめて解体して、その土地を元通りにすることも責任ではなかろうか!と思うのです。
しかし、今の制度では、廃業してしまえば、お金がないので、解体しなくても仕方ない!みたいな雰囲気で
す。廃業するにしても、解体して土地を元通りにする!ことまで、いわゆる後始末まで責任を問われない
感じにみえます。せめて、開業する時に、解体費も担保できるシステムを導入しておかないと、後世の世代
が大変な目にあるような気がするのです。後世の世代には、正の遺産を残してあげた方がいいと思うのです
。そんな、後世の幸せも考えられる生き方を大事にしていきたいと私は思うのですが。