報恩講とは? ―浄土真宗本願寺派のお作法
●報恩講とは
報恩講とは、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の法要です。聖人の恩に報い、お念仏を味わうのが趣旨です。浄土真宗の僧侶・門徒さんにとっては、年中行事の中でも最も重要な法要です。50年ごとの節目には大遠忌(2011~2012年は750回忌)と称し、大々的に法要が行われます。
●いつなの?
東本願寺では11月28日、西本願寺では旧暦に計算した1月16日を親鸞聖人の命日としますが、関東のお寺の多くは10月中旬頃から11月下旬頃にかけて各々報恩講が勤められています。
●何をするの?
・お寺や一般家庭のお内仏(お仏壇)で、僧侶の唱える正信偈(親鸞聖人の教えを説いた経)をお聞きします。
・一般の法事と同じようにおとき(料理)をいただくこともあります。
●地域による違いは?
・浄土真宗が親しまれている北陸3県では報恩講がさかんです。「ほんこさま(富山)」「ほんこさん(石川・福井)」「おこさま(福井)」とも呼ばれ、各寺では法会(ほうえ)の後におときの精進料理がふるまわれ、「報恩講料理」として郷土料理に数えられています。基本は一汁三菜の精進料理ですが、北陸内の地域によって細かく内容に違いがあるとのこと。最近では報恩講料理の食べられる旅館や、催しがあるそうです。
・三重県伊勢地方では御講汁という、味噌仕立て・にんじん油揚げのお汁をいただきます。
●『報恩講』金子みすず
「お番」の晩は雪のころ、
雪はなくても暗のころ。
くらい夜みちをお寺へつけば、
とても大きな蝋燭と、
とても大きなお火鉢で、
明るい、明るい、あたたかい。
大人はしっとりお話で、
子どもは騒いじゃ叱られる。
だけど、明るくにぎやかで、
友だちゃみんなよっていて、
なにかしないじゃいられない。
更けてお家へかえっても、
なにかうれしい、ねられない。
「お番」の晩は夜なかでも、
からころ下駄の音がする。
「お番」は詩人・金子みすずの郷里山口の地方で報恩講の事です。お寺での仏事の身近さと、子ども心が踊るような、その場の雰囲気を今に伝える詩ですね。「うちは浄土真宗だけど、それ以外の事は何もわからないし興味がない」という方もいらっしゃると思います。最近ではお寺での行事というだけで、敷居が高い面があるかもしれません。そんな中で、自分の家でなくなにか昔の偉いひとの法事に、現代でもたくさんの人が集ってお経に耳を傾ける意味について考えてみられてはいかがでしょう?故人と向き合う以上にご自分と向き合うきっかけ、感謝の心など、生きる拠りどころとなる確かなものが感じられるかもしれません。
(この記事は副住職監修のもとでスタッフ投稿です。住職ならびに副住職、いつもブログ執筆有難うございます!)
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